プレーオフ進出をかけた最終節4月28日
ここまでクニックスホーフェンが11勝8敗の勝ち点+-0。
ムールハオゼンは10勝9敗の勝ち点-4。前半戦の直接対決の1対3が効き、差は4ポイント。
「ムールハオゼンは3対0で勝つだろう。自分たちが勝つ以外プレーオフへの道はない。」
「オーダーは1番バスティー。2番フィリップ。3番Jin。相手がどう並べてきても関係ない。3対0で勝ちましょう!」と最後のミーティングを終え試合開始の16時の試合開始を待ちました。
会場に現れたマインツチームは、ムラデノビッチが怪我で不出場。代わりにファイターのシポッシュ。
「ムラデノビッチが出ない。オーダーどうする?」と一瞬迷いましたが「ここで迷ったら後悔する。選手を信じよう。誰が何番に来てもオーダーは変えない。3対0で勝つ!」
16:00 試合スタート
1番 バスティー vs シポッシュ(ルーマニア/WR254位)。安全に入れてくるボールのないシポッシュ。入ったらバスティーと言えど取れない。それでも我慢のプレーで第1ゲーム11対9と先取。第3ゲームも10対9とマッチポイントを握り、渾身の3球目バックハンドドライブが炸裂!大きな先取点をあげます。
「オリンピックは別な競技に感じるよ。サーブを出す手が震え、ツーバウンドさせる事すらできなくなる」と語っていたバスティーが、このプレッシャーのかかる場面でも強靭なメンタルを発揮してくれます!
2番 フィリップ vs ロッシー(イタリア/WR257位)。前半戦では3対1で勝利していたものの僅差の試合でした。第1ゲーム6対2とリードしながら8対10と逆転され、ゲームポイントを奪われますがここから逆転勝ち。第2ゲームも6対2とリードしながら6対6に追いつかれる展開に。「フィリップ。1・2ゲームともに6対2から追い上げられている。第3ゲームも6対2になったらタイムをとっていいか?」
「コージ。そんな恥ずかしいことはしないでくれ。大丈夫。俺は勝って帰ってくるから。俺を信じてくれ」
第3ゲームも6対2とリード。6対3となり「フィリップ頑張れ!」と心の中で呟く。次の1点を取り7対3。「良し!抜け出した!」
そのままリードを保ち3対0で勝利!
そして、その瞬間がやってきました..
2番が終わり20分の休憩時に、どうしても気になったムールハオゼンのライブスコア(同時刻から試合開始)を確認すると、2番に出場したフルダの選手がムールハオゼンのベルトランドに2対1の10対3とリード。クニックスホーフェンは現在2対0。ムールハオゼンは1点でも落とすと、得失点差でクニックスホーフェンのプレーオフ進出が確定します… あと1点…
控え室にそっと戻り、選手には伝えないようにしようと考えていると、中からバスティー、フィリップ、アレグロの歓喜の声が聞こえてきました。
みんな見てたんだ笑!
「コージ、俺、10年ぶりのプレーオフだよ!」少し涙目のバスティーが声をかけてくれました。
フィリップもアレグロも「コージ!プレーオフだ!」
私もチームが勝って涙を流したのは数年ぶりでした。
「Jinには黙っていようぜ」会場で3番に出場するために練習をしているJinは知らないはず..
「今、ムールハオゼンが2番で敗退したのでクニックスホーフェンのプレーオフが決まりました!」会場に響き渡るアナウンス笑!
jinも気づきました笑
ここからは3位になるか4位になるかの試合です。
3番 Jin vs リー(中国)。左腕から繰り出される強烈なサーブ3球目攻撃に、第1ゲームを失うものの、自分のサーブからの展開で得点しながら徐々にレシーブからの展開でもポイントを重ね3対1で勝利!
【ハイライト動画です】
対戦相手がカメラを回し始めるほど一体感のある応援
美しいシェークハンズアリーナ
どんなに逆境に追い込まれても、最後まで頑張り抜く選手たち
裏方としてスポンサー獲得に走り回ってくれる事務局
試合前日からの完璧な試合会場設営と、試合当日も声を枯らして応援してくれるヘルパーの方々たち
この中の一つでも欠けていたら、歴史ある、しかもハイレベルなドイツ・プロリーグでのプレーオフ進出は成し遂げられなかったと思います。
2023-2024シーズンは人口たった6,000人の街クニックスホーフェンが生んだ奇跡..
その夜、6年前に初めて1部リーグに挑戦したシーズン、クニックスホーフェンでプレーしたダルコ・ヨーギッチ(スロベニア/WR17位。現ザーリュブリュッケン)から「コージ!おめでとう!」と連絡がありました。
「俺は卓球台をリスペクトしてるから、ダルコのように登る事はできなかったよ」
「(笑)決勝戦で対戦しようぜ!」
さぁこれからプレーオフ!今シーズン最低あと2試合もユニフォームを着てコートに立てると思うと本当に勝ててよかったと思います!
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