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板垣孝司ブログ
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ドイツ1部監督。青森山田前監督

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板垣孝司の全レシーブ克服
板垣孝司の全レシーブ克服
元青森山田学園卓球部監督、現ドイツプロリーグ1部チームのヘッドコーチ。初心者からトップ選手、ジュニア選手に有効な練習方法まで色々なテクニックを紹介します。
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2024年5月3日 22:13 公開

【 2023-2024 シーズン プレーオフまでの道のり(5) 】予期せぬ結末と歓喜のロッカールーム

【 2023-2024 シーズン プレーオフまでの道のり(5) 】予期せぬ結末と歓喜のロッカールーム

プレーオフ進出をかけた最終節4月28日

ここまでクニックスホーフェンが11勝8敗の勝ち点+-0。
ムールハオゼンは10勝9敗の勝ち点-4。前半戦の直接対決の1対3が効き、差は4ポイント。

「ムールハオゼンは3対0で勝つだろう。自分たちが勝つ以外プレーオフへの道はない。」

「オーダーは1番バスティー。2番フィリップ。3番Jin。相手がどう並べてきても関係ない。3対0で勝ちましょう!」と最後のミーティングを終え試合開始の16時の試合開始を待ちました。

会場に現れたマインツチームは、ムラデノビッチが怪我で不出場。代わりにファイターのシポッシュ。

「ムラデノビッチが出ない。オーダーどうする?」と一瞬迷いましたが「ここで迷ったら後悔する。選手を信じよう。誰が何番に来てもオーダーは変えない。3対0で勝つ!」

16:00 試合スタート

1番 バスティー vs シポッシュ(ルーマニア/WR254位)。安全に入れてくるボールのないシポッシュ。入ったらバスティーと言えど取れない。それでも我慢のプレーで第1ゲーム11対9と先取。第3ゲームも10対9とマッチポイントを握り、渾身の3球目バックハンドドライブが炸裂!大きな先取点をあげます。
「オリンピックは別な競技に感じるよ。サーブを出す手が震え、ツーバウンドさせる事すらできなくなる」と語っていたバスティーが、このプレッシャーのかかる場面でも強靭なメンタルを発揮してくれます!

2番 フィリップ vs ロッシー(イタリア/WR257位)。前半戦では3対1で勝利していたものの僅差の試合でした。第1ゲーム6対2とリードしながら8対10と逆転され、ゲームポイントを奪われますがここから逆転勝ち。第2ゲームも6対2とリードしながら6対6に追いつかれる展開に。「フィリップ。1・2ゲームともに6対2から追い上げられている。第3ゲームも6対2になったらタイムをとっていいか?」
「コージ。そんな恥ずかしいことはしないでくれ。大丈夫。俺は勝って帰ってくるから。俺を信じてくれ」
第3ゲームも6対2とリード。6対3となり「フィリップ頑張れ!」と心の中で呟く。次の1点を取り7対3。「良し!抜け出した!」
そのままリードを保ち3対0で勝利!

そして、その瞬間がやってきました..

2番が終わり20分の休憩時に、どうしても気になったムールハオゼンのライブスコア(同時刻から試合開始)を確認すると、2番に出場したフルダの選手がムールハオゼンのベルトランドに2対1の10対3とリード。クニックスホーフェンは現在2対0。ムールハオゼンは1点でも落とすと、得失点差でクニックスホーフェンのプレーオフ進出が確定します… あと1点…

控え室にそっと戻り、選手には伝えないようにしようと考えていると、中からバスティー、フィリップ、アレグロの歓喜の声が聞こえてきました。

みんな見てたんだ笑!

「コージ、俺、10年ぶりのプレーオフだよ!」少し涙目のバスティーが声をかけてくれました。
フィリップもアレグロも「コージ!プレーオフだ!」
私もチームが勝って涙を流したのは数年ぶりでした。

「Jinには黙っていようぜ」会場で3番に出場するために練習をしているJinは知らないはず..

「今、ムールハオゼンが2番で敗退したのでクニックスホーフェンのプレーオフが決まりました!」会場に響き渡るアナウンス笑!
jinも気づきました笑

ここからは3位になるか4位になるかの試合です。

3番 Jin vs リー(中国)。左腕から繰り出される強烈なサーブ3球目攻撃に、第1ゲームを失うものの、自分のサーブからの展開で得点しながら徐々にレシーブからの展開でもポイントを重ね3対1で勝利!

【ハイライト動画です】

対戦相手がカメラを回し始めるほど一体感のある応援

美しいシェークハンズアリーナ

どんなに逆境に追い込まれても、最後まで頑張り抜く選手たち

裏方としてスポンサー獲得に走り回ってくれる事務局

試合前日からの完璧な試合会場設営と、試合当日も声を枯らして応援してくれるヘルパーの方々たち

この中の一つでも欠けていたら、歴史ある、しかもハイレベルなドイツ・プロリーグでのプレーオフ進出は成し遂げられなかったと思います。

2023-2024シーズンは人口たった6,000人の街クニックスホーフェンが生んだ奇跡..

その夜、6年前に初めて1部リーグに挑戦したシーズン、クニックスホーフェンでプレーしたダルコ・ヨーギッチ(スロベニア/WR17位。現ザーリュブリュッケン)から「コージ!おめでとう!」と連絡がありました。

「俺は卓球台をリスペクトしてるから、ダルコのように登る事はできなかったよ」
「(笑)決勝戦で対戦しようぜ!」

さぁこれからプレーオフ!今シーズン最低あと2試合もユニフォームを着てコートに立てると思うと本当に勝ててよかったと思います!

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