板垣孝司ブログ
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ドイツ1部監督。青森山田前監督
【2022-2023 ドイツ・ブンデスリーグ 第3節 vs グルーンウェッターズバッハ】宇田選手ドイツに参上!マッチカウント0対2からの大逆転勝利にシェークハンズアリーナが歓喜で揺れる!

第3節ホームゲーム対グルーンウェッターズバッハ戦。宇田選手がドイツ入りし初のブンデスリーグ1部への挑戦..
心配していた時差7時間も本人がしっかりとした自覚=時差対策をしていたので一安心。あとはしっかり食べて試合に全力を尽くしてくれるのみ..

私自身も及川選手がプレーしていた2年前の感覚に近く「宇田選手に少しでもコンディションを整えてもらい元気にコートに立って欲しい。戦術・技術面はまずはコートに立ってから」と感じていました。

対するグルーンウェッターズバッハは大黒柱のWang Xi(ドイツ)に加え、WTTでも安定した活躍を見せているRicard Walther(ドイツ/WR74位)新加入のチアゴ・アポロニア(ポルトガル/WR56位)はブンデスリーグではいぶし銀の強さを見せる強敵です。

「宇田をシングルス2試合に出すか?世界ダブルス3位の実力を信じてダブルスに起用するか?」悩みましたが、直前にシュテガーが体調不良になり私の気持ちも吹っ切れて「宇田をエース起用!」でオーダー提出。カットのWangに滅法強いキリアンが2番。絶好調の3番にフィリップ。

しかしシュテガーが公式練習に出てこなかったのを見られ、常にエース起用のWangはキリアンを外し2番に出場(驚)!宇田を捕まえに。エースにアポロニア.. オーダーは完全に読まれ完敗..

17:00 試合開始

1番 宇田 vs Wang。日本のカットマンとは全く違うWangのカットスタイル。初対決では正直かなり厳しいと感じていました。バック表ソフトのブツ切れカットと変化幅の多い突っつき。フォアは全部カウンタードライブ。サーブ3球目の攻撃力は攻撃マンより遥かにハイレベル。第1ゲームの攻防が全てでした。ジュースを繰り返すなかで「このゲームを取れないと2ゲーム目以降はボールの質や飛距離を分かられ、益々厳しくなる」と私自身が知っていながらタイムアウトを取れなかったのが全てでした。0対3の敗退。

2番 キリアン vs アポロニア。とにかく手堅いアポロニア。点数は競っているものの、最後の1点を渡さないアポロニアに0対3で敗退。

15分の休憩。相手のダブルスはカットのWangとRicard。クニックスホーフェンはサウスポーのアレグロとキリアン。練習を繰り返し、この2人がベストペアーと私の判断。ただ5番まで回すことができれば..

3番 フィリップ vs Walther。直前にWTTオマーン大会でも充実したプレーをしていたWaltherに対し、ゲームカウント1対1の7対2とリード。しかしここから大逆転され万事休す。0対3の敗戦ムードが漂う中、フィリップが初めて出したYGサーブにWaltherが引っかかり「2年前にキリアンが勝った時も慣れないYGサーブを出し続けて勝ったから、自分の今までのシステムを捨ててYGを繰り返してくれ!」のアドバイスから蘇り大逆転の3対2で勝利!

4番 宇田 vs アポロニア。過去の勝敗は1勝1敗。第1ゲームを失い第2ゲーム終盤に審判とのトラブルがあり20分も中断しましたが、1人孤立して心配そうな宇田には「ヨーロッパでは試合中の喧嘩は当たり前!」とガッツリとプロテクトし第2ゲームを奪い返します。第3ゲーム9対9ではバックドライブをクロスに振り抜き得点。サーブからの展開、チキータをどのように試合で使うかも、アドバイスした分だけ本番で吸収していく宇田選手はやっぱり凄い。難敵にトドメを刺し3対1で勝利。

5番 キリアン・アレグロ組 vs Wang・Ricard組。やはりダブルスは左右のペアリングが圧倒的に有利です。無理せずコースを突きながら要所でパワーボールを決める展開で有利な試合展開に。アレグロのダブルスの安定性は練習でも確信していたので自信を持ってオーダに名前を書きました。どんどんプレーが噛み合ってきて3対0での勝利!

【 ハイライト動画です 】

殊勲はフィリップです。あの苦しい場面から宇田につないでくれたスピリットは凄い!そして日本では有り得ないような20分の大喧嘩による中断(?)にも動じず更にプレーのギアを上げた宇田も凄い!

大逆転勝利に興奮冷めやらぬまま宇田選手の公式インタビューが始まり、同時通訳はカズト.. 司会者のドイツ語は理解できても宇田選手に正しい日本語で伝えられたのか.. 親としては滅茶苦茶心配でした..

宇田選手はこう話していました。

「日本の試合と全く違います。プレーのテンポを変えられたり、日本では届くはずなのにもっと届かないところに打ち込まれたり。緊張はしていませんでしたが体は少し硬くなっていたかもしれません。でもコートに立ってプレーして凄く楽しかったです」と。

現在の世界ランキングは22位。私がベンチで初めて見ての感想は「(1)色々な場面と(2)色々な選手への『対応力』が身につけば世界TOP10は正直確実だと思う」です。もっているポテンシャルは素晴らしい。今は攻め続けるプレーを追求しているので時々行き過ぎてミスを誘われることもありますが、『対応力』がキーワードになるはずです。そしてブンデスリーグでの勝敗にこだわりながらも学んで成長していこうというスピリットは◎!

そのためには日本のあるコーチに協力をいただかなければなりません..

試合終了後にフランクフルト空港にアレグロの車で送ってもらいWTTカザフスタンに出発した宇田選手。

「万全な状態ではなくてもコートに立つ」

その厳しい体験は本人の潜在能力を何倍にも強くしてくれると思います。

2022年9月12日
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