板垣孝司ブログ
公式
ドイツ1部監督。青森山田前監督
ブンデスリーグ 20節 【 悲しみの中でのデュッセルドルフ戦は0対3で敗退 】

試合が終了し、見学に来てくれていた梅村さん(バタフライドイツ)に挨拶に行った時に、どうしても堪えることができず人前で涙を流してしまいました。

ロシアとウクライナの問題からIOC(国際オリンピック委員会)がロシア選手の出場停止を発表し、続いてWTTへの出場も停止しました。あとはETTU(ヨーロッパ卓球連盟)とTTBL(ブンデスリーグ)がどのように発表をするのか。

「今日はマクシムを出したい。でも選手紹介の時にマクシムに対して観客がブーイングをしたら心が傷む。出して良いか」とアンディーに相談しました。「観客はマクシムの問題ではないことはわかっているから、絶対にそんなことはしない」とアンディーから返事をもらいました。

オーダー交換の直前にクニックスホーフェンからの応援団が到着しました。マクシムを除くバースティ、キリアン、フィリップ、私がアンディーから集められ「TTBLがロシア選手の出場停止を求めるかもしれない。そうであればマクシムとは今日の試合で別れることになるだろう」と。

クニックスホーフェンにあるブンデスリーグのオフィスにはロシア人女性のクセンニャが働いています。ジュニア選手のコーチであるオレクセイはウクライナで生まれ、ベラルーシで育った選手。毎週水曜日に練習に来てくれる選手はウクライナ人。妻のドイツ語教室での友人にも多くのロシア人・ウクライナ人がいます。
みんな親切で凄く良い人ばかりです…

それでも目の前の試合に集中しなければならない..

試合が始まりました。

1番 ティモ・ボル(ドイツ/WR8位) vs マクシム。立ち上がりに多彩なサーブから先手を取り大量リードしたマクシムでしたが、徐々にティモに捕まり、第1ゲームをジュースで落とすと、更に技術を見抜かれ0対3での敗退。

2番 アントン・ケルバーグ(スウェーデン/WR31位)vs キリアン。「来シーズンを見込んで、色々なサーブを使っていいか?」というキリアンに対し「もちろんだ。得意のバックサーブだけでは、もう慣れられてるからパターンを増やそう」を声をかけゲームスタート。最終ゲーム8対8まで競いましたが、ここで崩れないアントンに2対3での敗退。

3番 ダン・チウ(ドイツ/WR41位、邱コーチの次男)vs バースティー。数年前とは別人のように自信を持ったオーラのあるダン。得意のストップからの展開だけでなく、勝負をかけるフォアハンドにも一段と得点率を増しています。バースティーは、まだ100%の状態ではなく0対3での敗退。
チームも0対3での敗退でした。

【 ハイライト動画です 】

チームも0対3での敗退でした。

試合が終わり、「もしかしたら本当に最後になるかもしれない」マクシムと一緒に写真を撮りました。そして梅村さんに挨拶に行き、マクシムと写真を撮った理由を伝えた途端涙が止まらなくなってしまいました。

次の日の朝食までマクシムと一緒だったので、色んな話はしましたが、たくさんの事は聞きませんでした。ただ「もし、状況が変わったら必ず連絡を取り合おう。ロシアでは規制されているかもしれないけどWhat’s appは通じるの?」とだけ聞き「What’s appは大丈夫」と返事をもらい、そして別れました。

今シーズン、国際大会では大活躍したマクシムですが、ブンデスリーグのシングルスはここまで3勝。私が力になれなかっただけでした。それでも、いつも明るく、SHクラブで格下の選手相手にも一緒に練習をしてくれたり、歳が近いこともあってか、いつもアキトを呼び出して一緒に食事に行ったり。

だから、子供達にもこの話は結論が出るまで言わないでおこうと考えていました。「今までありがとう。さようなら」は言わせたくないと。

今日3月3日にTTBLからの結論が届きました。
「他のドイツのプロスポーツに足並みを合わせます。彼らはドイツでのクラブで労働しているので、ブンデスリーグへの出場は認めます」と。

すぐにマクシムに連絡をしました。「国際大会は難しいかもしれないけれどクニックスホーフェンは、いつでもマクシムを歓迎するから。しっかりと力をつけて、いつでも戻ってきてクニックスホーフェンの大観衆の前でプレーしよう!」と。

今シーズン残り2試合ですが、選手全員が元気に揃って声を出して「燃えて!」プレーする。それだけのことですが平和でなければ出来ないのだと心から思います。

2022年3月4日
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