試合会場まで歩いている途中、一部に挑戦した今季では初めて気持ちが吹っ切れていました。
シュテガーから聞いた「自分を信じること」妻から聞いた「選手に勇気を持たせること」….
振り返ってみると2部リーグ時代は選手は十分な実力を備えていたので、あとは対戦相手を分析し選手に伝える事で「負ける確率」を減らしていたのだと思います。ただ1部リーグでは細かい戦術はもちろん大切ですがもっと大切なのは「向かっていく気持ち」。この卓球の原点に今まで自分が気付いていなかったのかもしれません。競った場面で選手自身も勇気がなくなっていたからこそ「あと1点が取れていれば..惜しかった」が続いていたのだと思います。一部リーグでは「負けない卓球」では不十分。「勝ちに行く卓球」をさせなければならない。
試合に対する心構えが「カチッ」とはまりました。
グレンツァオはエースのコウ・レイ選手(世界ランク34位)。若くて勢いのあるゲラシメンコ選手。ブンデスリーグで長くプレーしているベテランのチオティー選手。現在まで最下位とは言え、十分な実力を備えています。
今日のグレンツァオのオーダーはNo1. ゲラシメンコ選手 No2.チオティー選手、No3.コウ・レイ選手。予想通りでした。元気でガツガツとカットを打ってくるチオティー選手よりも、カット打ちに不安があるコウ・レイ選手が平屋選手と対戦すればチャンスがある。1番でダルコ選手がチオティー選手に勝てれば流れは来る!
「ダルコ、キリアン、今日の試合、送った戦術動画のことは一切忘れていいよ。細かな戦術は必要ない。まずは元気を出して向かっていこう。沢山のサポーターの方々の前で声を出してプレーしよう。そして苦しい時、一番大切なことは自分を信じることだよ。Trust youself!(自分を信じよう)。広大、好きなようにプレーしてくれ。この日のためにしっかりと準備してきたのはわかっている。伸び伸びとプレーしていいから!」
それでは試合のハイライト動画です。※私の絶叫が煩わしい方はどうぞ音声を落として下さい。
第4ゲーム7対7。ダルコに私がベンチからかけた言葉は「Trust yourself(自分を信じろ!)」でした。三部航平選手(現専修大学2年)がインターハイ・男子シングルス決勝の最後(第7ゲームの9対9)に私が発した言葉を思い出しました。「航平!勇気を振り絞れ!」
長い道のりでした。ようやく若い選手たちを勝利に導くことができました。若い選手たちに必要なのは自信と勇気です。もちろん対戦相手に対する戦術も必要ですが、その前の卓球の原点から訴えることができた今節は自分の指導人生の中でもベストゲームの一つでした。そしてやっとサポーターの皆さんにも喜んでいただけました。今日は記録更新となる715人の方々が応援してくださいました。(町の人口は5,000人です)
次節は11月5日(日)Bergneustadt戦がアウェイで行われます。対戦相手は現在9位ですが個人の世界ランキングでは完全に格上です。
次の試合も厳しい試合だと思いますが、エースの及川選手も戻ってきて「最強の向かっていくチームスピリット」を見せてきたいと思います。トンネルの向こうには明かりが見えます。そこを掴みたいです。
PS 試合の挨拶が終わり、ふと反対側の観客席を見ると一番目を合わせたくなかった人と目が合ってしまいました。ピンクのシェークハンズのパーカーを着ていた日本人女性です。もちろんニヤニヤしていました。「してやったり!」という顔つきでした..
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