今回から、コメントをすることになりました。足立泰志です。 よろしくお願いいたします。
現在、島根県の松徳学院中学校高等学校で、明治大学の後輩でもある佐藤拓也と一緒に、選手の育成のため日々、指導に励んでいます。微力ながら卓球界の活性化とレベルの向上に貢献できればと思っています。
さて、世界卓球団体選手権東京大会まであと3ヶ月を切りました。卓球人として、いち卓球ファンとして楽しみであるとともに、日本代表男子、女子の活躍を期待しています。平岡義博氏のコメントにもありましたが、日本が優勝するには中国という大きな壁があります。そこで、中国選手とどのように戦えばよいか、勝手ながら考察させて頂きます。
動画は、日本の丹羽選手と中国の馬龍選手が2013年の世界選手権のパリ大会で対戦をした試合のダイジェストです。ものすごいハイレベルなラリーの応酬で、ただ見ているだけでも面白いですが、丹羽選手の得点しているパターンに注目して見たいと思います。
まず、両選手の特徴ですが、丹羽選手はテンポの速い両ハンドでの連続攻撃と台上でのバックハンドドライブが持ち味です。対する馬龍選手の特徴は、ダイジェスト動画の最初の3ポイントに見られるような力強いフォアドライブです。先に攻めたとしても馬龍選手に時間を与えてしまうと強烈なドライブを打ち込まれて得点されてしまいます。しかし、丹羽選手が得点しているパターンも馬龍選手のフォアサイドへの打球が起点になっていることに注目してみてください。
打球点を早くして打ち込むバックハンドや、フォアハンドのシュートで厳しいコースに打球した得点が多く見られます。馬龍選手は力強いドライブを打つのが長所でもありますが、毎回大きく体を使ってフォアハンドを打ちます。そのため、速いテンポでのラリーにやや弱いのではないかと考えます。たとえ先に攻撃されても、むしろ、攻撃された時こそ、早いタイミングでフォアをつくことで勝機が見出されるのではないでしょうか。
相手の長所を攻めて最大の効果を得る。まさに、「虎穴に入らずんば虎子を得ず作戦」です。日本には、丹羽選手や松平選手など前陣での早い卓球が持ち味の選手がいますし、エースの水谷選手も今年の全日本では進化した前陣での攻撃をみせて優勝をしました。東京大会で馬龍選手から1ポイント上げるためには、そのようなプレーが必要不可欠だと考えます。
松徳学院中学校高等学校 足立泰志