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ドイツ1部監督。青森山田前監督

大津インターハイ⑨ 学校対抗優勝と「天晴れ」

大津インターハイ⑨ 学校対抗優勝と「天晴れ」

(写真提供:日本卓球㈱)
気が弱く、すぐに妥協しそうになる私。何とかなるだろうと甘い考えで「石橋を叩く前に走りきろう。」としてしまう私。正反対の性格の持ち主は私の妻です(笑)。大会期間前も「本当に大丈夫なの?」「~だったらどうするの?」と私のマイナスイメージを「×10倍にして」私の気持ちを引き締めてくれます(笑)。正に「石橋を叩いて、先に私に渡らせて、安全を確認して、私が向こう岸から「大丈夫だよ~!」と手を振って、「やっぱ私、渡らない。」と階段を降りて行って舟で渡ってきて、「お待たせ!」と私に優しく微笑む性格の妻。
そんな妻もインターハイ期間中は気を使ってくれ、あまり連絡をしないでくれていました。

大会2日目、学校対抗準々決勝で勝利した後、何人かの方々からは「選手のプレーが硬いように見えるよ。」とアドバイスを頂きましたが、明日の学校対抗準決勝・決勝に向けて選手にかける言葉は決まっていました。
「大切なことは、勝って次のステージに進むこと。だから今日の試合はこれで良い。明日の午前中はシングルス1回戦で、誰も試合がないから、まずはゆっくり起きて疲れを取ろう。」
「そして、明日の準決勝からは入場行進があり、卓球台もフェンスに囲まれる。会場の雰囲気が整ったときにあなた達も僕もスイッチが入るよ。明日は素晴らしいプレーができるよ。」
「お休み!」体育館でのミーティング?は相変わらす一瞬。

大会3日目、応援席には山田の保護者達と、歴代このインターハイで活躍した卒業生達が大声援を送ってくれました。
学校対抗準決勝の長崎県瓊浦高校戦は、昨日までのプレーと明らかに違っていました。1番で三部がゲームオールの接戦をものにし、2番では高橋が中国人留学生に逆転勝ち。前日の学校対抗準々決勝では負けたダブルスも「全てのボールを狙って得点を取りに行く。」圧倒的なプレーでゲームを支配しました。

本来なら、応援に来てくれた卒業生に挨拶に行くタイミングでしたが、ヤマダ卒業生のグループラインに書きました。
「今は挨拶に行かず、あと1試合終わったら挨拶に行きます。」

学校対抗決勝戦。
最後はこのオーダー。青森を出発する前から決めていた、絶対に逃げないオーダーで勝負。
1番の三部は素晴らしいカット攻略を披露し、先取点を挙げてくれました。
2番の一ノ瀬は野田学園エースの青山選手に1ゲーム目を先取しましたが1-3で敗退。
「一ノ瀬。あとは仲間に任せよう。声が枯れるまで一緒に応援しよう。」
3番のダブルスが勝負。2ゲーム目に相手のチキータ外しに失点し、ゲームカウント1-1。流れを失いかけましたが、「まずは3ゲーム目をしっかり取ろう。」
22089(写真提供:バタフライ)
4ゲーム目、2ゲーム目に何故ペースを持っていかれたかは分析できていました。7-5、10-9マッチポイント。ここから青山選手の思い切りの良い攻撃に得点を挙げられ、逆転負け。ゲームカウント2-2。「勝負は甘くないな。今から今から。」心の中で自分に語りかけていました。
5ゲーム目も一進一退。1点を取るためにお互いが好プレーを連発。長いラリー。
どのカウントだったか記憶はありませんが、タイムアウト。
「僕らのチキータが待たれているように感じます。」
「ないない(笑)。違うよ。逃げるからだよ。日本で最も高い質のチキータで勝負だよ。」
9-8及川レシーブ。及川が青山選手のフォアに放ったチキータレシーブは最高の質でコートに放たれました。「絶対に取れない!」後ろで見ていて確信しました。
10-8及川SV、青山選手RV、三部3球目。青山選手が三部のミドルに放ったチキータを三部がフォアハンドでぶち抜き、ハイレベルなゲームに終止符を打ちました。

4番の及川は、かつて青森山田中学に在籍し、全日本カデット14歳以下シングルスでチャンピオンを獲得した沼村。いや沼村選手。強くなっていました。
お互いのボールを知り尽くした戦いは、先輩である及川が「攻めるところは一撃で。守るところは1球でもしつこく。」自分の持ち味を充分に発揮し、終始ゲームの主導権を握りました。
ゲームカウント2-0。3ゲーム目。

10-6。マッチポイント。沼村選手SV。
この場面でも沼村選手は2本ともロングSVを出し、強気で向かってきました。10-7。
及川フォアハンド空振りで10-8。「まだ勝負はついていない。沼村選手は死んでいない。」
タイムアウト。
「及川。アドバイスはないよ。ベンチのみんなに聞いて(笑)。俺からは一つだけ。笑顔だよ。」

20211(写真提供:日本卓球㈱)
何度もプレッシャーに押しつぶされそうになっただろう選手達。わざわざ応援に来てくれたたくさんの卒業生に最高のプレゼントをしてくれた選手達。20212(写真提供:日本卓球㈱)
学校対抗の表彰の後の写真撮影(冒頭の写真)には、もちろん卒業生・保護者のみなさんに一緒に入っていただきました。たくさんの方々の気持ちが生徒に勇気を与えてくれた学校対抗優勝。
「板垣先生、実は僕、インターハイで優勝したことがないんです。優勝旗持っていいですか?」イッポウ(張 一博(現東京アート)は優勝旗をしっかり握りました。「イッポウ、勿論だよ。ありがとう。」
自分の試合は私と同じくらい元気がある「卓球界の野獣王子こと大矢英俊選手(現東京アート)。」学校対抗の応援は少し元気がなく、卒業生の先輩から「大矢君、元気出していきましょう!」とハッパをかけられていました(笑)。
「ヒデ(大矢選手)!元気なかったらしいから、写真はセンターで!」真ん中に(笑)。

バタバタとしている中で妻に電話をした私。「勝ったよ。ごめん。今バタバタしてる。あとで電話するから。」
現地に足を運べず、インターハイライブTVで観戦してくれていた卒業生達が優勝したその瞬間、グループラインにたくさんのメッセージをくれました。みんな一言ではなく、長いメッセージを書いてくれました。
「ん? 一件だけ読んでいないラインが…..。」
妻からでした。
「天晴れ!」(え?)
不平不満を私に告げるときはあれだけ言葉を並べる妻。私に祝福のラインを送るときは3文字以上書かないポリシーなんだそうです(泣)。
(続く)

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