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ドイツ1部監督。青森山田前監督

大津インターハイ⑪ 男子シングルス優勝の駆け引きと「おめ」

大津インターハイ⑪ 男子シングルス優勝の駆け引きと「おめ」

(写真提供:バタフライ)
全日程を終了し、京都駅に向かう車の中で、私は男子シングルスで優勝した三部に質問しました。

「航平、優勝を決めた瞬間の雄叫びとガッツポーズ、凄いよ。格好良いし感動したよ。何でいつもあれだけ声を出してやらないの(笑)?」20745(写真提供:バタフライ)
「先生、一度、声を出してやってたときに自分の声が裏返って、逆に恥ずかしくて、そればっかり気にして集中しきれなかったことがあるんです…。」
車内は大爆笑でした(笑)。全日本選手権ダブルスで初優勝したときのインタビューでも、その「シャイ」振りを発揮した三部航平。パートナーの森薗政崇(現明治大学2年)が「マシンガンのように」言葉を発すその隣で恥ずかしがりながら「もう自分にマイクを向けないで!」オーラを発揮した2年前。その三部が「絶対に負けられない。」気迫を全面に出し、「青森山田」の牙城を死守した男子シングルス。10年連続の男子シングルスでのタイトル獲得です。
20743(写真提供:バタフライ)安定志向の三部の試合はスロースターターに見えますが、7ゲーム目の「12-10」で勝つことを逆算してのゲームプランを行っています。サッカーで言えば「絶対負けないゲームプラン。終盤の0-0からカウンター攻撃で1-0で逃げ切る」というイメージでしょうか。私の記憶では私がベンチに入り3-4で負けた試合は国際大会でのたった1回。4-3のゲームオールジュースで勝った試合は4試合あります。ゲームカウント0-3から挽回した試合は何試合もあります。

ベンチコーチとしては「ドキドキハラハラ」ではありますが、6年間もベンチに入り続け、慣れました(笑)。「負けないで次のステージに進む。」これが三部の最大の長所だと…..。

勝負は7ゲーム目の最後にどのSVを使うか、どのRVを使うかに委ねられていました。7ゲーム目のスタート。相手は思い切ったプレーをしてきました。スタートダッシュに失敗しました。
ただ最後に指示する戦術は6ゲーム目までの試合の流れから決めていました。最後の1本のSVとチキータの落点。あとはタイムアウトのタイミングと三部の精神状態を観察しての判断のみ….。
「2-4。」あと1本だけ見てみよう…..。
「2-5。タイムアウト!」

これ以上離されてしまってから逆転するのは難しい。でも、この場面での戦術のアドバイスはもっと難しい..。ここは我慢してメンタル面のアドバイス。試合の後半まで粘れれば必ず相手がタイムアウトを取るはず。戦術のアドバイスはそこですることに賭ける。一瞬の賭けでした。
「4-6。相手タイムアウト!」待ってました!
ベンチに駆け足で帰ってきた三部の顔つきは落ち着いていました。
「まだ行ける!そして、SV・RVのアドバイスも今なら頭に入るはず…。」
6年間ベンチに入り続けた直感から確信し「10-10で追いつける!」
8-8でとうとう追いつき、次の1本、三部の出した「高く入ってしまった」SVに対し、相手が焦ってRVミス。「9-8」

最後にベンチから三部に伝える言葉は決まっていました。

「三部!勇気を持て!勇気を持て!」

9-8からのSVはインターハイ19試合目で三部が今大会放った最高のSV。10-9から放ったチキータも今大会で最も質の高いチキータ….!
両手を高々と上げ、全身でガッツポーズをする三部を見たとき、ベンチで号泣してしまいました。
「勝ったんだ…。終わったんだ…..。全部….。」

涙が止まらないまま、ベンチから妻にラインをしました。
「勝ち。ゲームオール9。」
すぐに返信が来ました。
「おめ!」(え!)
彼女が私を祝福してくれる時は、3文字のラインを送ってくれるポリシーを持ってはずですが、更に1文字減って「 3文字 → 2文字+「!」」になったようです。(泣)。

後日、妻にラインの文字数の事を質問したら、次の回答をいただきました。
「ダブルス獲らせてあげられなかったでしょ!及川と高橋に自己新記録を更新させてあげられなかったでしょ!三冠獲って帰ってきたの?」
すぐに気持ちを締められたのは言うまでもありません……。色んな意味で、まだまだ戦いは続くようです(笑)。

全てが終わり、京都駅で、卓球王国のゆう君と一緒に夕食を食べながら優勝インタビューをしていただきました。
20619笑顔で大会を終えることができた…。ありがとうございました。
たくさんの感動を脳裏に焼きつけ、私にとってあまりにも濃密だった「インターハイ編」のブログを終了します。

青森山田高等学校・卓球部監督・板垣孝司

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